ジュニアレスラーの減量方法
1. 12歳までは減量はしない。13歳以上は無理な減量を避けること!
レスリングは体重階級制競技のため、出場する階級の設定は慎重に行う必要があります。
とくに、成長期のジュニアレスラーは指導者や保護者と相談して決定することが重要です。ウエイトコントロール(減量)の目的は、試合で最高のパフォーマンス(動き)を発揮することであり、無理なウエイトコントロール(減量)は避けることが勝利につながります。
ジュニア期の特徴
● ジュニア期(中学、高校)には身体の成長が著しくなります
● この時期の選手は、体格などの成長度に「個人差」がみられます
●発育発達度に合わせた、トレーニングや階級設定を行う必要があります
● 女性の場合、性機能(月経周期)の維持に体脂肪は重要な役割があります
ジュニア期までの減量の考え方
● スクールボーイ(小学生:~12歳)
ウエイトコントロール(減量)はしない
● カデット(中学生・高校生:13歳~16歳)
無理なウエイトコントロール(減量)はしない
● ジュニア(高校生・大学生:17歳~20歳)
無理なウエイトコントロール(減量)は避け、とくに短期的な急速減量は避ける必要がある
2. ジュニアレスラー、減量「3つのこころ構え」
ジュニアレスラーが減量に際して、考えておくべき3 つのことがあります。
以下のこころ構えで減量にのぞむことが、安全でかつ勝利への近道になります。
減量を行うためのこころ構え
❶ 自分のからだを知ること
・起床時体重を測ること(減量を行うときの基準となる)
・練習前後の体重を測ること(脱水症状や水分摂取の目安となる)
・体脂肪率を月に一度は測ること(トレーニング効果や食事摂取の目安となる)
❷ 基本的な食事バランスを身につけること
・主食(ごはん・パン・めん類)、主菜(肉や魚)、副菜、乳製品、くだもの(果汁100%ジュースも可)
❸ 無理のない計画的な減量を行うこと
・減量方法は、体脂肪の減少を目的とした有酸素性運動(ランニングなど)をとり入れ、短期間での絶食や飲水制限を控え、練習時の水分補給を心がけること
3. 栄養
1. 減らすのは必要のないものから
からだづくりやコンディショニングに必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルをうまくとるためには、食事をしっかりとることが必要です。まず最初に減らすのは、それらの栄養素があまり含まれていないお菓子やジュースです。食事を減らすのはその次です。
2. 脂質を多く含む食品を控えめに
脂質はエネルギーが高いため(脂質は1 gあたり9 kcal、たんぱく質、炭水化物はともに4 kcal)、脂質を多く含む食品や料理は少量で高エネルギーとなります。減量中には、食品や料理の中身をしっかり見極めて、油脂の多いものは控えめに。市販食品はパッケージに記載されている栄養成分表示を確認するとよいでしょう。
3. 主食は減らしすぎない
減量中、主食(米飯など)を減らす人もいるようですが、主食に含まれる炭水化物は運動時の重要なエネルギー源です。炭水化物が不足するとスタミナ切れをおこし、充実したトレーニングができなくなります。主食の減らしすぎには注意しましょう。
4. 食事の減らしすぎに注意
食事を減らしすぎて摂取エネルギー量が大きく減ってしまうと、筋肉も減ってしまいます。減らしたいのは体脂肪ですね。体脂肪を減らすには、時間がかかります。減量は、十分な時間をとって計画的に行いましょう。急ぐあまり、食事を抜いたり、極端に減らすことは避けましょう。
軽さで選ぶのはカン違い!
4. 計量後から試合までの食事
試合までの時間を考えて、食事の内容とタイミングを決めよう
1. 炭水化物をしっかりとる
試合のときのエネルギー源は炭水化物です。とくに計量前に減量したときは、体内の炭水化物が非常に少なくなっています。
炭水化物を多く含む食品をしっかりとり、試合に備えましょう。計量直後や試合前は、消化のよい食品がおすすめです。
2. 脂質の多い食品や料理は控えめに
計量後から試合までは素早く体調を回復させることが重要です。揚げ物や焼肉など、脂質の多い食品は消化吸収が遅く、素早い回復には向いていません。
パスタは炭水化物源ですが、ソースによっては脂質が多くなるので確認して選びましょう。
3. こまめに補食をとり入れよう
試合前は緊張などで食欲が低下したり胃腸の働きが弱くなったりすることもあります。消化のよい補食をこまめにとり、エネルギーを補いましょう。
4. 水分補給も忘れずに!
脱水状態は発熱や倦怠感、めまいなどの熱中症症状を引き起こし、最悪の場合には死に至ることもあります。体調を整えるために、こまめに水分をとりましょう。炭水化物やミネラルを含むスポーツドリンクを飲むのもよいでしょう。