栄養

1. トップレスラーのからだ

上腕二頭筋と腹筋が発達している

 世界で活躍する日本人トップレスラーのからだは、それ以外のレスラーたちと比べて、どのような違いがあるでしょうか? レスリングは、筋力の違いが勝敗に大きく影響するため、からだのさまざまな部位の筋肉の大きさを比べてみました。するとトップレスラーは、上腕二頭筋という力こぶと腹筋の筋肉が、より大きいことがわかりました。

 レスリングは、相手を強く引きつけ動きを封じることが重要です。また、相手を持ち上げるときも、ディフェンスのときも腹筋は重要な役割を果たします。これらの筋肉の違いが競技成績に影響している可能性が考えられます。

トップレスラーの体脂肪率

 トップレスラーのからだは、筋骨隆々で皮下脂肪などまったくないようにみえます。実際に、彼らの体脂肪率はどれくらいなのでしょうか?

 -55kg級から-84kg級までの男子トップレスラーの平均体脂肪率は、9.2%でした。-48kg級から-54kg級までの女子トップレスラーの平均は、13.9%でした。日本のトップアスリート平均の体脂肪率(男子11.6%、女子17.6%)よりも低く、日々の激しいトレーニングにより、無駄のないからだに発達していることがわかります。高校生男子のトップレスラーの平均は10.0%でしたが、ジュニア期はからだのさまざまな面が発達する時期なので、この時期に体脂肪率を落とそうとする必要はありません。しかし、定期的に体重や体脂肪率を測定することで、トレーニングや食事による自分の「からだの変化を知る」ことを習慣づけましょう。

※レスラーは、日本トップレスラー、アスリートは、JISSで測定した全競技種目アスリートです。

2. 除脂肪体重について知ろう

筋肉量の増減の目安

 トップレスラーの体脂肪率が低いことは前ページで紹介しました。では実際に「脂肪は増やさずに筋肉だけ増やしたい」、「脂肪だけ減らしたい」というときには体組成のどの指標を参考にすればよいのでしょうか?

 そこで注目すべき指標が「除脂肪体重」です。除脂肪体重とは、体重から脂肪の量を引いた値のことで、筋肉や骨、内臓等の重量になります。成長期が終わると骨や内臓の重量はほとんど変化しないため、除脂肪体重の増減は筋肉量の増減の目安になります。

 例えば図1 のように、体重63kg、体脂肪率10%のジュニア60kg級の選手がいるとします。この場合、脂肪量は6.3kgになるので除脂肪体重は56.7kgになります。シニア65kg級で戦うために一年かけて5kg増量する場合、できるだけ除脂肪体重で5 kg増量するように管理することが望ましいです。

 除脂肪体重を増やす(減らさない)ためにも、定期的に体脂肪率を計測して除脂肪体重を管理しつつ、トレーニングや栄養補給に取り組む必要があります。日本代表選手も合宿中に体組成を計測することによって、定期的にコンディションを確認しています。

図1 増量する際の体組成変化の例

3. ジュニアレスラーの食事(栄養)の重要性

「基本的な食事の形」を知ろう!

 成長期に栄養の不足やかたよりなどで発育がおさえられると、その遅れをあとで取り戻すことはむずかしくなります。さらにスポーツを行っている場合は、より多くの栄養が必要です。その栄養は、基本的に三度の食事からとることが大切です。また、食事はただ単に空腹を満たすだけのものではなく、食べ物の役割を知って食べることが大切です。

成長期と栄養の関係

1. からだを動かすエネルギー
主食(炭水化物):ごはん・パン・うどん・スパゲティ・シリアル・いも類など

2. からだ(筋肉、血液など)をつくる材料
おかず(タンパク質):肉・魚・たまご・乳製品

3. からだの機能調整に役立つ
野菜料理(ビタミン類・食物繊維):緑・赤・黄色の野菜

4. 体の抵抗力強化とコラーゲン合成
くだもの(ビタミンC):みかん・オレンジ・イチゴ・キウイ・100%オレンジジュースなど

5. 骨や歯の材料
乳製品(カルシウム):牛乳・ヨーグルト・のむヨーグルト・チーズ

 上記の1 〜5 の食品グループから1 品ずつそろえれば、栄養バランスが整う「基本的な食事の形」となります。

「基本的な食事の形」の食品

基本的な食事の形を身につける
主食(ごはん・パン・めん類)、主菜(肉や魚)、副菜、乳製品、くだもの(100% ジュースも可)