女子選手のコンディショニング

1. 女子選手のコンディショニング

女性アスリートの三主徴

 男子選手と女子選手には大きな違いがあります。それは何でしょうか?

 答えは、女子選手には「月経(生理)」があるということです。

 月経は女性にとって重要なものですが、試合にぶつかったりすると「生理がなければいい!」などと思ったりしていませんか?

 トップを目指し、試合で最高のパフォーマンスを発揮するためには、女性特有の「月経(生理)」について知識と理解を深め、日頃から対処していくことが大切です。

女性アスリートの三主徴(しゅちょう)

 女子選手では『無月経(むげっけい)』、『骨粗しょう症』、『エネルギー不足』の3つからなる「女性アスリートの三主徴」が問題となっています。

 激しいトレーニングや過酷な減量によって女性ホルモンの状態が変化すると、月経が規則正しくこなくなってしまったり、骨が弱くなってしまいます。また、絶食や食べたものを吐くなどの減量方法は、摂せっしょく食障害につながります。この3つは、互いに関連しているので注意しなければなりません。

2. 運動性無月経について

身体組成をチェックすることからはじめよう

 初経(しょけい)(初めて生理がくること)がこなかったり、日々の激しいトレーニングによって規則正しく月経がこないことを、総称して「運動性無月経」といいます。

 運動性無月経の原因はおもに、体重(体脂肪)の減少、激しいトレーニングや試合のプレッシャーなどによる精神的・身体的ストレス、食事の量と身体が消費しているエネルギーのバランス、身体の調節をしているホルモンの変化などがあげられます。

 3カ月以上連続して月経がきていない場合には、無月経であることが考えられるので注意が必要です。

体脂肪の重要性

 適度な脂肪は身体にとって重要です。とくに、女性では体脂肪が月経に関わっていることから、過度な減量を行っていると、月経が規則正しくこなくなってしまう可能性が考えられるので、注意しなければなりません。

 アスリートを対象とした調査では、体脂肪率が低いほど月経異常率が高くなることがわかっています(図1)。また、試合のために減量を行う人は多いと思いますが、同じ格闘技種目の柔道選手を対象とした調査で、減量量が多い選手ほど、月経異常の選手が多いことがわかりました(図2)。

 これらのことからも、日頃からの体重、体脂肪のチェックが大切であること、減量量が多くなりすぎないようにすることが大切です。

 

図1 体脂肪率と月経異常率

(目崎 登 女性スポーツの医学 文光堂, 1997 より一部改変)

図2 減量量と月経異常率

(目崎ら 2006より一部改変)

3. 月経とコンディション

月経の記録をつける、基礎体温を測る

 月経がくる前、月経期間、月経が終わったあと、月経と月経の間の期間、コンディションに変化はありませんか? 女性トップアスリートを対象とした調査では、多くの選手が月経前1 週間、月経期にコンディションが悪く、月経前2 週間、月経と月経の中間期、月経後1 週間はコンディションがよいと答えています。

 月経痛の症状は人それぞれですが、日頃から、いつ、どの時期に症状があるのか、コンディションが悪いと感じる時期はいつなのかを、自分で把握しておくことが、練習量や休息、食事などを考えるうえで大切です。

 運動性無月経やそれに関連した女性アスリートの三主徴を防ぐ、また、月経周期に起こる症状に対処するにはどうすればよいでしょうか?

 それには以下の2つを実践することをおすすめします。

◯自分の月経を知ろう!

 月経開始と終了日、経血量(出血の量)、月経痛の症状を記録しよう!

・月経がはじまった日を1 日として、次の月経がはじまった日の前日までを「月経周期(げっけいしゅうき)」といい、この日数が25〜38日以内であれば、月経周期が正常であるという目安になります。

◯基礎体温をつけてみよう!

(体温の変動で今がどの時期かを知ることができます)

・基礎体温とは?
安静時の体温のことで、目が覚めて起き上がる前に測定した体温のことです。
月経がはじまってから約2週間は低温相(ていおんそう)が続き、その後約2週間は高温相(こうおんそう)になり、次の月経がくるとともに低温相に戻るパターンを示します。

4. 女子選手の月経(生理)について

生理について正しい知識を身につけよう

 女子選手にとって生理について正しい知識をもつことは、コンディションを整えるために大切です。女子は10歳から15歳になると生理がはじまります。生理は女性のからだを健康に保つために必要なもので、将来、子どもを産むためにも大切なからだのしくみです。男子の選手やコーチもやさしい配慮をしてください。

 トレーニング量が多すぎる、それに見合う栄養が不足すると生理が止まることがあります。競技をするには都合がよい、と思うのは間違いで、3 カ月以上生理が来ない場合には、身近な医師に相談してください。

 生理痛で困っている(いつも、痛み止めが必要)選手は、一度専門の医師に相談しましょう。よい方法がみつかることがあります。

生理の周期と自分のコンディション

 生理の周期と自分のコンディションについて考えてみましょう。生理が終わってすぐか、数日後に調子がよい選手が多いようです。大事な試合に生理が重なってしまうのが心配な場合には医師に相談して、生理をずらすことができます。

 そのほか、生理の前につらい症状がある、生理前に試合があると減量しにくい、生理の出血量が多い、など女性特有の心配がある場合には、遠慮なく専門医に相談してみましょう。

男性指導者・保護者も月経について学ぼう!

公益財団法人日本体育協会・学校運動部活指導者の実態に関する調査では、中学・高校における日本のスポーツ指導者の多くが男子指導者(70-80%)であることが報告されています。このため、女性アスリートだけでなく、男性指導者も女性スポーツの情報を知ることは、選手の健康管理の観点からも重要です。

5. 女性アスリートとしての悩み・相談窓口を活用しよう

相談先は・・・

女性アスリート健康支援委員会   

国立スポーツ科学センター(JISS)女性アスリート専用電話相談窓口

◯もちろん、レスリング医事委員会の女性医師たちに直接相談しても大丈夫です

国立スポーツ科学センター(JISS)女性アスリート専用電話相談窓口

女性アスリートの婦人科受診について

以下に該当するようなアスリートは婦人科受診をお勧めします。

  • 生理痛がひどい(月経困難症)
  • 生理前のいらいら、体重増加、むくみ、胸が張る等の症状が強い(月経前症候群)
  • 3カ月以上月経が来ていない(無月経) 
  • 15歳になっても初経がない
  • 試合に合わせて生理をずらしたい(月経調整)

女性アスリート専用電話相談窓口

女性特有の問題などの女性アスリートが抱える悩みについて、JISSメディカルセンターの医師・専門スタッフがお応えします。

【対象選手】

  • 公益財団法人日本オリンピック委員会強化指定選手
  • 公益財団法人日本オリンピック委員会加盟競技団体の強化対象選手

【相談時間】

 9:30 〜16:30 (月曜〜金曜)※ただし祝祭日、年末年始を除く

【相談内容】

  • 月経について(月経調整・月経異常など)
  • 体重調整、栄養相談
  • メンタルトレーニング、心理相談
  • セカンドキャリア
  • 頭部外傷  など

国立スポーツ科学センター(JISS)女性アスリート専用電話相談窓口