レスラーの減量時コンディショニング

1. 減量時の身体組成

レスリング競技では、試合前の短期間の急速減量が問題視されています。とくに身体成長が著しいジュニア期には、適切な階級の設定や日ごろからの体重管理を行うことが重要です。
 もちろん、多くのレスラーは減量の程度差はありますが、試合前に減量を経験しています。減量はただ体重が落ちることなのでしょうか? 近年の報告から、急速減量により内臓面積(胃など)や筋横断面積が小さくなることがわかってきました。
 このことは、パフォーマンスに影響する因子である筋肉量を減量時にどれだけ維持できるか、計量後から試合までの食事のとり方が、試合でよいパフォーマンスを発揮するために重要と考えられます。

短期急速減量時の身体組成(上肢)の変化(久木留ら,Br J Sports Med.2008 より引用改変)

2. 減量時の心理的変化

 急速減量による心身のコンディションは、体重や体脂肪などの身体組成の変化の他にこころの変化もみられます。

 たとえば、気分の変化を評価するPOMS(ポムス)という心理テストがあります。POMSは、緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱の6 因子を評価しており、通常期にみられた活気のスコアが、減量期には低下する選手がみられました。

 さらに、急速減量により食行動の異常(EAT-26)や不安感の増大(STAI)がみられる選手も認められました。

 すべての選手がこのようなこころの変化を示すとは限りませんが、減量中は、通常の練習時の状態とは明らかに異なるということは、知識として把握しておくことは大切です。

 

短期急速減量時にコンディションを崩した選手の事例(相澤ら,臨床スポーツ医学,2006より引用改変)

通常期に比べ減量期はPOMSスコア(気分尺度)がコンディション不良型と考えられる逆アイスバーグ型を示した。食行動異常を評価するEAT-26および不安状態を評価するSTAIスコアも同様に減量期に著明に増大した。