コンディショニング

1.「ジュニアレスラーのコンディショニング」とは?

毎日、体調を記録することの大切さ

 みなさん、「コンディショニング」と、聞いていったい何を連想しますか? アスリートは試合に向けて、毎日、激しいトレーニングを行っています。しかし、せっかく熱心に練習しても、試合時にコンディション(体調)を崩して思うようなパフォーマンスを発揮できないことがあります。
 とくに、レスリング競技は体重階級制の競技であるため、試合前にウエイトコントロール(減量)をする選手が多くみられます。ウエイトコントロールの目的は、試合で最高のパフォーマンス(動き)を発揮することであり、無理なウエイトコントロールはこのパフォーマンスを落とすことになり、避けなければいけません。このため、毎日の体重測定や体調管理が非常に重要となります。
 この「レスリングブック」のHOMEぺージにあるワークシートに、日々記録をつけることで、またその記録を整理することで、自分のからだを「知る」手がかりとなり、その情報からコンディションの成功例や失敗例に「気づく」ことにつながります。こうして、自己管理(セルフコンディショニング)ができる選手へと成長する道づくりにつながっていくのです。

ジュニアレスラーのためのコンディショニングブック活用術

2. アスリートのコンディショニングの重要性

「トレーニング」「栄養」「休養」の3つできれいな三角形を描こう!

 パフォーマンス向上のためには当然、毎日の練習の積み重ねが基本となります。しかし、強い選手になるためには、レスリングのほかに、しっかり食べること、そして適切に休むことも重要となります。すなわち、

「 トレーニング」
「 栄養」 三度の食事が基本
「 休養」

 この3 つのバランスを適切に保つことが大切となります。どれが欠けても、強い選手になることはできません。また、どれかにかたよっても、強い選手にはなれないのです。
 この「コンディショニング」の章では、そのバランスのとり方が理解できるようになっています。

 

パフォーマンス向上のための三大原則

3. からだの調子を知る

気づいて考えられるレスラーになろう!

 試合でベストパフォーマンスを発揮するためには、試合までの体調(コンディション)管理が非常に重要となります。トップレスラーは自分のコンディションを管理するために、日ごろからからだの状態を記録しています。日々記録をつけることでトップレスラーは自分のコンディションを知り、その情報から試合に向けてコンディションをよりよい状態に調整していきます。 トップレスラーになるために、コンディションの自己管理法をジュニアのときにしっかりと身につけておきましょう。

セルフチェック

 毎日のトレーニングによって、からだの調子は変化します。たとえば、きつい練習をした翌日にからだが重く感じ、休日の翌日にからだが軽く感じることがあるでしょう。このように自分が感じる体調を「自覚的コンディション」といいます。「自覚的コンディション」をトレーニング量の調整の目安にすることは、効果的なトレーニングを実施するうえで大切なことです。しかし、からだがきつい、だるい、つらいと感じるところを乗り越えなければトレーニング効果はあがりません。そのため、高いレベルのトレーニングを積むレスラーは「自覚的コンディション」だけではなく、体重、体温、起床時心拍数などの客観的な指標を用いて総合的にコンディションを評価する必要があります。
 日々、コンディションを記録し、その記録を観察することで、トレーニングや休息、食事が自分の体調と密接に関係していることに気づくでしょう。日本のトップレスラーは、このようなコンディション評価をトレーニングに取り入れているインテリジェンス(賢い)レスラーです。みなさんも世界に羽ばたくインテリジェンスレスラーを目指しましょう。
 コンディションを評価するための指標には下記のようなものがあります。また日々のコンディションを記録するために、日本レスリング協会作成のこの「ジュニアのためのレスリングブック」の利用をおすすめします。

コンディション評価のための指標

自覚的コンディション(パフォーマンス、体調、疲労など)
安静時心拍数
体重、体脂肪率
体温
血圧
トレーニング内容(強度、量、時間など)

4. ジュニアレスラーの強くなるためのコンディショニング

自分のからだを知って、上手にコンディショニング

 まずは、自分のからだや体調について「知ること」が大切です。そのためには、レスラーとしてのパフォーマンス評価はもちろん、体重、体脂肪率、栄養バランス、脱水状態、安静時の心拍数などについて、記録し、調べてもらう必要があります。そうして、自分の体調や状態について知り(コンディション評価)、それに基づき、自分の体調や状態を改善していく(コンディショニング)努力が必要です。
 もちろん、自分ひとりではできないこともあります。指導者やチームスタッフ、保護者の方に相談しながらすすめましょう。

コンディション評価

パフォーマンス評価
体重、体脂肪率
栄養バランス
脱水(尿比重*)
安静時心拍数

コンディショニング

質の高いトレーニングを行う
上手な減量、上手な増量
食生活を改善する
適切な食事と水分摂取を行う
疲労回復

5. 強くなるためのセルフチェックシート

コンディションを知る10のポイント

 下記の質問に答えて、現在の自分のコンディションを把握してみよう!

さあ、今の自分はYESが何個あったでしょうか?
YES10個をめざしてがんばろう!