テーピング

1. テーピングの使い方

正しいテーピングの使い方

テーピングとは

 テーピングとは、解剖学的な構造および外傷・傷害の発生機転(メカニズム)などにそって身体の一部に粘着(接着)テープ、伸縮性粘着テープを規則正しく貼ったり、巻いたりする方法のことです。

テーピングの目的

 テーピングの代表的な目的は以下の3つがあります。

①外傷発生の予防

 各種スポーツにより傷害を受けやすい部分があり、この部分を補強するのを第一の目的としています。おもに足関節・手関節・指関節で用いられます。一般に足関節の捻挫は多いのですが、その60〜70%は足関節の内返しによる外側の損傷といわれます。このような傷害を受けやすい部分があるので、その部分を補強するためにテーピングを行います。

②応急処置

 外傷直後の患部の安静固定を保つために行うものです。たとえば捻挫・肉ばなれなどが生じた場合に患部を動かすと、内出血が増加して腫れてきたり、痛みが増してきたり、患部を動かすことにより靱帯の部分断裂が完全断裂になってしまいます。したがって、病院に行くまでの応急処置として、患部の固定と圧迫をかねてテープで固定します。

③再発予防

 外傷の前歴がある部分に対して、その再発を防止することを目的として行うテーピングのことです。テーピングの目的のなかで、最もよく用いられるもので、受傷後比較的早い時期に行う場面から、同じ外傷を繰り返し関節の動揺性が残存してしまっている部分に日常的に行う場合まで幅広く用いられています。

テーピングにおける注意事項

正確な診断

 再発予防を目的としてテーピングを行う際の大前提です。外傷の種類およびメカニズムを把握しておくことが重要です。また、外傷・障害の重症度、回復状態によってテーピングを実施できる時期、テーピングの強さ・固定力が異なるため、これらの確認も大切です。

正しい解剖学的知識

 捻挫したときに損傷されやすい靱帯を補強しなければ意味がないので、各関節の靱帯の位置と走行とその作用をよく理解しなければいけません。また関節の可動域をある程度制限するのがテーピングの目的ですから、各関節の可動域とそれを作動するおもな筋の動きと、その筋の起始・停止についてよく理解する必要があります。さらに神経や血管などを圧迫すると危険であるので正しい解剖学的知識が必要です。

 また、外傷発生メカニズムもよく理解し、生じうる外傷を防ぐようなテーピングを行わなければなりません。さらにスポーツ各種目ごとの動作の特殊性があり、それをなるべく防げないようにテーピングを行わないと意味がありません。

2. 実践編:再発予防としてのテーピング(上肢)

肘の捻挫に対するテーピング

  1. アンカー:
    前腕と上腕の中央に、非伸縮テープを巻く
  2. クロスサポート:
    肘のサイドで、クロスするようにアンカーからアンカーへ非伸縮テープを巻く
  3. アンカー:
    テープの端を、止めるように輪状に巻く
  4. 伸展制限テープ:
    アンカーからアンカーへ、肘の中央に伸縮ハードテープを巻く
  5. アンカー:
    テープの端を、止めるように輪状に巻く
  6. スパイラル:
    前腕の中央から、肘の下を通り、上腕の中央にむけ、囲むように伸縮ハードテープを巻く
  7. アンカー:
    テープの端を止めるように輪状に巻く
  8. サーキュラー:
    すべてのテープを覆うように伸縮性のソフトテープを貼る

1. アンカー        2. クロスサポート(外側)

2~3. クロスサポート(内側) 4~5. 伸展制限テープ

6. スパイラル(外ひねり防止)

6. スパイラル(内ひねり防止)

7. アンカー       8. サーキュラー

各テーピングの効果を知ろう!!

  • アンカー:テープの架け橋。テープがずれないように止める効果。
  • クロスサポート:肘が、横に曲がらないようにする効果。
  • 伸展制限テープ:肘が、過度に伸びないようにする効果。
  • スパイラル:肘のひねり過ぎを防ぐ効果。
  • サーキュラー:テーピング全体のずれを防ぐ効果(サポーターで代用可能)

【POINT】必要なテープは、何枚か重ねたり、引っ張って調節しよう!!

3. 実践編:再発予防としてのテーピング(下肢)

足首の捻挫に対するテーピング

  1. アンカー:
    親指から子指の付け根の下と、くるぶしからこぶし一つ分上に輪状に巻く
  2. ホースシュー:
    親指の下のアンカーから、小指の下のアンカーまで巻く
  3. スターアップ:
    内から外に引っ張って巻く
  4. アンカー:
    前のテープを止めるように輪状に巻く
  5. ヒールロック:
    踵を引っ掛けて捻りあげるように、内・外ともに巻く
  6. フィギュアエイト:
    土踏まずから外側を引き上げるように巻く
  7. アンカー:
    前のテープを止めるように輪状に巻く

1~2. アンカーとホースシュー  3~4. スターアップ

5. ヒールロック(内ひねり防止)

5. ヒールロック(外ひねり防止)

6. フィギュアエイト

7.アンカー

各テーピングの効果を知ろう!!

  • アンカー:テープの架け橋。テープがずれないように止める効果。
  • ホースシュー:足首のぶれやねじれを防ぐ効果。
  • スターアップ:足首が、内側にひねらないよう固定する効果。
  • ヒールロック:踵の、ひねりを防ぐ効果。
  • フィギュアエイト:足の腹から先が、内にひねらないようにする効果。

【POINT】捻挫は、内側にひねることが多いので、各テープは、外向きに引き上げるようにしよう!!

各テープの効果を知って、自分の症状が強い個所の補強をしよう!!